シュリーマッド・バーガヴァタム アンバリーシャ王の物語

かのスータ(神話を朗唱したり解説する高徳な吟遊詩人)が、「バーガヴァタム」を語り続けている。

アンバリーシャは全地の王となり、すべての富と快楽を思いのままにしました。しかしそれらは王にとって何の意味もありませんでした。なぜなら彼は主クリシュナを愛していたからです。永遠で至福に満ちた存在であられる神、主クリシュナを愛するようになった者は、この世の空しい欲望に魅了されることはないのです。

アンバリーシャの心は、いつもシュリー・クリシュナに集中していました。
彼の唇は主クリシュナの栄光のみを語り、手はクリシュナへの奉仕のみを行ない、耳は主の御言葉のみを聴いていました。眼は主の神聖な現れを観、触感は主の現存を感じ、臭覚は主の神聖な香りのみを嗅いでいました。味覚は主の取られた食べ物のみを味わい、足は主のおられる場所のみ赴き、頭は主クリシュナの蓮華の御足に触れていました。

Krishna-4
シュリー クリシュナ

ある時彼は、全宇宙の主に、ある誓いを立て、一年間の特別な修行を行なっていました。その最後の断食を解こうとしていた時、聖者ドゥルヴァーシャがやってきました。王はうやうやしく挨拶をし、祝宴の席にその聖者を招いたのでした。その後、ドゥルヴァーシャは沐浴に行ってしまい、断食を解く吉祥な時間になっても帰ってきませんでした。そこでアンバリーシャは誓いを無効にしないために、水だけを飲むことにしました。これは招き客に対しても無礼にはならないことだったのです。

しかしドゥルヴァーシャは戻るなり、王が水を飲んだことに対してひどく立腹しました。自分が軽んじられたと思い、瞬間的な怒りの熱で王に呪いをかけたのです。呪いはデーモンの姿を取って、アンバリーシャに襲いかかろうとしました。しかし、悪魔は王の平静で恐れのない態度に敵意を挫かれ、反対にドゥルヴァーシャの方に向き直り、彼を食い殺そうと襲いかかってきたのでした。自己の呪いから必死に逃げようとするドゥルヴァーシャは、ブラフマーやシヴァのもとへと赴きましたが、誰も彼を助けることができませんでした。最後の手段としてドゥルヴァーシャは主ヴィシュヌのもとへ行きました。主ヴィシュヌはこう告げます。

「私もまたどうすることもできないのだ。なぜならお前は私の帰依者を侮辱したからだ。私は自分の帰依者を愛し、喜んで愛する者たちの奴隷となっている。また彼らは私のためにすべてを喜んで犠牲にし、自らを全く私に捧げきっているのだ。もし誰かがそのような帰依者を呪うなら、その呪いは力を増して、その者自身へと戻ってくる。唯一人だけお前を救える者がいる。呪いによって侮辱した者のところへ行って、彼の許しを請え。それだけがお前を救い得るだろう。さぁ、すぐに行け。成功を祈ろう」

ドゥルヴァーシャは自己の呪いから逃れる術がないことを知り、王のもとへ行き、謙虚に許しを請いました。王は十分な敬意を示して、聖者を快く許し、その魔力からドゥルヴァーシャを救うために、主に祈りを捧げました。

「おお主よ、あなたの無限の御力は、すべてのものの内に存在しております。
日の中にも、太陽の中にも、月や星々の中にも、あなたはおられます。
また水や地の中にも、空や風の中にも、そして、全宇宙の微細なエレメントの中にもおられます。
あなたは全てのものの内の全てです。
どうか、まったき愛の御力によって、ドゥルヴァーシャを守護してくださいませ。
そして、私たちすべてが、あなたの平安を知ることができますように」

ドゥルヴァーシャはハートのうちに平安を見出し、すべての悪から清められたのでした。

この美しい、愛あふれる物語を読んでいるだけで、私の心は深い充足と安心に満たされます。
主ヴィシュヌの愛、そして、その帰依者であるアンバリーシャの愛によって、ドゥルヴァーシャは清められ平安へと導かれていったのでした。

バクティ・ヨーガ(信愛のヨーガ)の中で、愛はこう定義されています。

バクティ・ヨーガは、真の、純粋な主の探求です。愛に始まり、愛でつづき、愛に終わる探求です。たった一瞬の神への愛の狂気は、我々に永遠の自由をもたらします。
「バクティは、神への強烈な愛である」「人がそれを得ると、彼はすべてを愛し、何者をも憎まない。彼は永久に満足してしまう」「この愛は、いかなるこの世の利益の期待にも、格下げされるものではない」

まさにアンバリーシャ王は、この愛の中に生きた人であったのだと思いました。
師はヨーガによって、本当の愛に目覚めることができると教えてくださっています。
私たちすべてが、本当の愛に目覚めることができますように。

ハレ クリシュナ ハレ クリシュナ  クリシュナ クリシュナ ハレ ハレ
ハレ ラーマ ハレ ラーマ      ラーマ ラーマ ハレ ハレ

ダルミニー


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