シュリー・チャイタニヤ

シュリー・チャイタニヤ(15~16世紀)は、バクタの代表格であり、神の化身とまで言われた聖者である。
チャイタニヤは、若い頃サンスクリット文法と論理学を完全に身に付け、非常に博識であり、高名な学者を討論で破ったりして、あらゆる宗教を嘲弄し、多くの人々から無神論者と見なされていた。彼は既に家庭を持っていたが、最初の妻が死んだので再婚した。しかしこの時にチャイタニヤのより深い本性が姿を現し始め、遠いところにあるクリシュナ寺院に巡礼しようと思い立った。その途上で彼は、一人の偉大なヴィシュヌ派の聖者に出会い、この出会いによって彼のより高い霊的生命が動かされて真に生き始めたのである。寺院についたチャイタニヤはクリシュナへの愛による恍惚的熱情を経験し、以前とはまったく異なった人間になったのだった。「わが神クリシュナはいずこ」という叫びばかりをあげるようになった。クリシュナについて考え、クリシュナを探し求め、幻視したクリシュナの姿を考えてはそのことに圧倒されてしばしば気を失った。
その後彼は世俗を捨て、インド中に神への愛を説いて回り始めた。彼の命のすべては、クリシュナに対する愛の燃えるような流れであった。

彼は、『バーガヴァタ・プゥラーナ』におけるクリシュナ伝説の中の神のパートナーと自分を完全に同一視してしまったので、どんなに小さな偶然の一致でもクリシュナの人生の中の同様の冒険なり事件を彼に連想させて、クリシュナへの愛に圧倒されるのだった。最後にチャイタニヤは、抑えることのできない神的な熱情の突発に身を任せ、南インドの深く青い海の中に飛び込み、人間の眼からは永遠に失われたのであった。こうして、人間の形をとって現れた「神」の愛の一雫は、地上に降り来る前の故郷である「神」の愛の大海へと帰っていった。
まさにチャイタニヤの人生は、クリシュナ神とゴーピー(牧女)たちの永遠の愛の遊戯の中にあったのである。

(絵:サルヴァーニー)