ヨガで痩せる理由、痩せない理由


体形や体質を改善する必要を感じて、ヨガを始める人は多いかと思います。運動不足の人とか、体を動かすことが苦手な人でも、「ヨガなら無理なくできそう」と思って始める方もいるでしょう。

それでも、ヨガをやっていれば必ず痩せるというわけではありません。ここでは、ヨガ(本来インドのサンスクリット語では「ヨーガ」と読みます)が、どのようにして体に作用するのかという仕組みの理解と、本来のヨーガの正しい方法について説明したいと思います。

ヨガを頑張っても痩せない?

ヨガで痩せる理由は?

「ヨガは痩せる」——そういうイメージは強いと思います。そのような体験談や口コミもよく出会います。ヨガで痩せる理由としては、有酸素運動で脂肪を燃やし、普段の基礎代謝を上げることで、カロリーを消費することが挙げられます。

つまり、脂肪の燃焼も、基礎代謝の向上も、結局はカロリー消費につながるというのが痩せる理由です。

ヨガで消費するカロリー

しかし、ヨガのような運動量が少ないものでは、消費するカロリーはわずかです(30分で100kcalほど。ラジオ体操とほぼ同じ消費量で、ジョギングの半分)。一般的に1時間ヨガを行っても、パンケーキ1つ分のカロリーも消費できません。

つまり、ヨガをカロリー消費のためのエクササイズだと捉えると、その効果はほとんど期待できないということになります。

ヨガは基礎代謝を上げる?

また、基礎代謝量(何もしていなくても消費されるカロリー)についても、本来、人間の体は生命を維持するためのカロリー消費をできるだけ少なく抑えようとするので、そもそも簡単に上げることは難しいようです。

基本的には、筋肉が脂肪を燃焼させるため、筋肉の量に比例して基礎代謝量が上がります。ただし5kg筋肉を増量して、基礎代謝量が50kcal増える計算なので、5kg体重が増える代わりに、毎日パンケーキ1/4を我慢しなくてすむという程度です。

そもそも、ヨガは負荷をかけた筋力トレーニングではありませんので、筋肉はそれほど増えません。インナーマッスルが鍛えられるということはあるかもしれませんが、それでも5kgも増えることはないと思います。ですので、筋肉を増量して脂肪燃焼を高めるというのも、ヨガの得意とすることではありません。

つまり、結論としてはこうなります。

結論:ヨガを単なるエクササイズとして見ると、痩せることに効果はない。

多くの人にとって衝撃の結論ではないでしょうか?

ヨーガで痩せる仕組み

それにもかかわらず、やはり(本来の)ヨーガは体形の改善に役立ちます。具体的には人それぞれに適正な無駄のない体格と体重になります。その例をたくさん見てきました。その仕組みを説明していきましょう。

ヨーガは体以上に心に影響を与える

これまで、「ヨガ」あるいは「ヨーガ」というのがいったい何なのか、正確には言ってきませんでした。その源は1,000年ほど前のインドにあります。アーサナ(坐法)と呼ばれるポーズを中心として、ハタ・ヨーガという名前のヨーガが成立しました。それまでのヨーガ(古典ヨーガと呼ばれるラージャ・ヨーガ)の歴史を引き継いで、日常での生活習慣や、呼吸の方法を含み、深い瞑想に入ることを目的としています。

アーサナは肉体にも影響を与えます。普段動かしていない筋肉を動かすことで、その部分の余計な贅肉が落ちて引き締まってきます。しかし、それだけで体全体が見る見る痩せるということはありません。

ヨーガのアーサナに重要なことは、体よりもむしろ心です。具体的には、アーサナを適度に長く(慣れた人で20呼吸ほど)保持するなかで、1つ1つの形態を保って呼吸に集中することです。

そうすることで、心の雑念がなくなっていきます。これは瞑想に入りやすくするため、心を調える手段として発展してきました。

心の落ち着きが感覚と食欲のコントロールにつながる

心の雑念がなくなって落ち着いてくると、食欲もコントロールされていきます。アーサナを正しい集中をもって行うと、終わった後にぼーっとした感覚が残り、まるでベールがかかったように、外にある感覚的な対象に心が向かわなくなります。食べ物についても、すぐには食欲が湧いてきません。食べると今の心地良い感覚が崩れる感じがして(実際に崩れますが)、食も含めて、心が刺激のあるものに向かわなくなります。今の状態に満足した、調和した心境であり続けようとします。(この心境を「知足」(足りたるを知ること)といいます)

この心に与える影響が、体が痩せる最も大きな理由だと思います。つまり、食べたいという欲望が制御されるということです。アーサナの効果は、日常の心のあり方にも影響を与えます。普段から心が落ち着き、繊細になることで、自然に欲望の対象に魅かれなくなり、ジャンクフードなどの体に良くない食べ物を受けつけなくなります。

それは同時に、日常での生活習慣として「腹八分目」を心掛けることで、よりよく進展していきます。ハタ・ヨーガの聖典には、「胃の1/4を空けておくこと」と言われているので、本当は腹7.5分目で、もうちょっと少なめなのですが、だいたい八分目としておきましょう。これはアーサナをすることが助けてくれます。また無理なダイエットによる偏食や、断食のような絶食とは違う適切な節食ですので、危険なく行えます。(ちなみに無理なダイエットが最も基礎代謝を落とすらしいです。これがリバウンドしてさらに太る原因かな?)

カロリー消費量よりも摂取量をコントロールするほうが有効

私たちは胃が必要としているもの以上に、見た目に魅かれたり、口が寂しいという理由で、お腹も空いていないのに余計に食べてしまいがちです。さらに、イライラなどのストレスがある時には、まったく感覚の制御が効かず、必要量を大きく超えた暴食をすることもあります。

それこそカロリー計算で見ても、パンケーキ1つを余計に食べたら、その分の消費には、ラジオ体操を1時間もするとか、外に出て30分走ってこないとダメなわけです。カロリー消費量や基礎代謝量の微々たる増加よりも、カロリー摂取量をコントロールするほうが体形の管理にはずっと効果的だということが、物質的な肉体の面からも分かります。

アーサナの体・呼吸・心に与える効果と注意点

ヨーガのアーサナは体だけでなく心に影響を及ぼすことが、他の運動やエクササイズと違う点だということが分かってもらえたでしょうか。

心を静めて集中させるために、アーサナには体と呼吸に与える複合的な良い効果があります。それは正しい形態を作ることと、呼吸への集中によってもたらされます。

プラーナの動きを踏まえた正しい形態を作ること

正しい形態の保持は大切で、その刺激によって体のより深いところにあるプラーナ(気・生命力)の流れが活性化されます。ヨーガの古代からの生理学では、物質的な肉体の内側にプラーナの精妙な体があると考えます。プラーナの体は肉体を内側から支えて、呼吸・消化・吸収・排泄・生殖・循環などの機能を司り、その活性化によって機能改善を図ります。また心理的には、どんよりして暗い気持ちや、不安定で動き回る状態から、軽く明るい心境へと変える力があります。

ですから、そのプラーナの動きを理解し、感じている人でなければ、アーサナの正しい形態を教えることができません。それは本で読んだり、ティーチャートレーニングなどの短期間で身に付ける知識では難しいことです正しい指導者の下で、正しい形態で行った場合には、明らかに感触が違います。先ほど言った心の調和の継続や、アーサナ後の感覚で判断して良い先生を見つけてください。

呼吸への集中がアーサナの効果を生みだす核心

もう1つ、呼吸はプラーナの落ち着きや乱れを最もよく反映します。呼吸が乱れると気が乱れる、つまり気持ちが乱れるし、病気にもなるというように、心とも体とも密接に関わっていますので、特に集中してコントロールする必要があります。

この呼吸への集中は、瞑想で行う方法でもあるのですが、アーサナのなかでそれを行うことによって、瞑想のような心の落ち着きを作り出すことになります。それが感覚・欲望の制御、つまり食欲のコントロールにつながるわけです。それはアーサナの効果を生みだす核心ですから、呼吸への集中はアーサナをする上でとても大切です。

まとめ

  • ヨーガは単なる肉体的なエクササイズではない。
  • ヨーガのアーサナは体だけでなく、心に影響を与えることで効果がある。
  • 具体的には、運動によるカロリー消費ではなく、主に自然な食欲のコントロールによって痩せる。
  • アーサナでは正しい形態を作ること、呼吸への集中が大切。

 

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ヨーガのアーサナを行う上で、正しい形態と呼吸への集中はとても大切です。

マハーヨーギー・ミッション東京の「ヨーガ・瞑想クラス」では、プラーナの動きを把握した正しい形態で、心身に本当に効果があるアーサナを学べます。

エクササイズのように連続してポーズを行うのではなく、1つの形態を保持し、静止するなかで呼吸に集中します。

正しくアーサナを行っていけば、プラーナが活性化され、呼吸のシステム自体が変化しますので、レッスン時だけでなく、日常的に体や心に良い変化を生み出します。

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