ヨガに瞑想はなぜ不可欠なのか? アーサナの秘訣に迫る


ヨガといえば、一般的にはヨーガのアーサナ(ポーズ)を思い浮かべるかと思います。実際にはヨーガというのは広大な体系をもち、アーサナはそのほんの一部にすぎません。しかしそのアーサナでさえも、何を目的とするのか正しく理解されていなければ、効果のないものになってしまいます。

アーサナは瞑想を目的とするもので、その目的を目指している場合に十分有効となります。つまり、アーサナと瞑想は別のものではありません

ここでは、ヨガつまりヨーガのアーサナと瞑想の関係について、①ヨーガやアーサナは本来どのようなものか、②ヨーガの体系のなかでアーサナがどのように発展してきたか、③アーサナはどのように行えば効果があるかを説明しながら、そのすべてにおいて本質的に重要なのは瞑想であるということを解説したいと思います。

ヨーガとアーサナの意味

ヨーガ本来の意味chariot

「ヨーガ」という言葉は「結びつけること」を意味します(「結びつける」という意味の動詞「ユジュ」から派生した名詞)。暴れ馬をくびきに結びつけてコントロールするように、感覚を通じて心が暴れるのをコントロールします。感覚の制御が「ヨーガ」本来の意味でした。

その具体的な方法が瞑想です。瞑想で一点に集中し、感覚を通じて心が分散してしまわないようにしたのです。つまりヨーガとは瞑想を意味します。瞑想状態にあることこそが「ヨーガ」なのです。

そして、瞑想によって到達する三昧(サマーディ)という境地もまたヨーガと呼ばれるようになりました。特に無分別三昧(ニルヴィカルパ・サマーディ)あるいは涅槃(ニルヴァーナ)と呼ばれる究極的な三昧の境地のことを指します。それは別の言い方では、「ボーディ」(菩提)つまり「目覚め、悟り」といいます。そうして、ヨーガとは「悟り」を意味する言葉になりました。

このように、ヨーガとは本来、①感覚を制御して瞑想すること、そして②瞑想の結果おとずれる悟りを意味します。

梵天勧請

ヨーガという境地を実現するためには、長らく瞑想という方法しかありませんでした。ブッダもまたこのヨーガの方法によって悟りをひらいたのです。

アーサナ本来の意味

一方、アーサナも古くからありました。「アーサナ」という言葉は「座る場所」「座り方」を意味します(「アース」が「座る」という動詞、「アナ」が「場所、状態」)。アーサナとは瞑想での座り方を意味しました。

シッダ・アーサナ

シッダ・アーサナ

ブッダが瞑想の時に組んだ蓮華坐(または結跏趺坐)は、パドマ・アーサナといいます。他にもシッダ・アーサナ(達人坐)、ヴィーラ・アーサナ(英雄坐)、スカ・アーサナ(楽坐・胡坐あぐら、ヴァジュラ・アーサナ(金剛座・正座)などの座り方があります。

つまり、ヨーガのアーサナとは瞑想の座り方ということであり、それが第一の意味であることは今でも変わりません。

ヨーガにおけるアーサナの位置づけ

『ヨーガ・スートラ』におけるアーサナ

アーサナが瞑想の座り方だけを意味した時代は長く、1,500年ほどもありました。ヨーガの最も重要な根本経典である『ヨーガ・スートラ』には、八部門のヨーガ(アシュターンガ・ヨーガ)というヨーガの実践段階が教えられています。

それによると、アーサナはその3段階目にあたり、4段階目はプラーナーヤーマ(調気法・呼吸法)、5段階目が感覚の制御、そして6〜8段階目がいわゆる瞑想になります。つまり古くからの伝統どおり、瞑想のための準備として、座り方、呼吸の方法、そして感覚の制御が教えられています。姿勢を調え、呼吸を調え、感覚を制御して瞑想する——これがヨーガの実践でした。(それに加え、日常を調えるために守るべきことが第1と第2段階目にあります)

八部門のヨーガ(アシュターンガ・ヨーガ)

  1. ヤマ(禁戒)……他者に対して行うべき5つのこと
    ①非暴力 ②正直 ③不盗 ④純潔 ⑤不貪
  2. ニヤマ(勧戒)……自分のために行うべき5つのこと
    ①清浄 ②知足 ③苦行 ④学び ⑤信仰
  3. アーサナ(坐法)
  4. プラーナーヤーマ(調気法)
  5. プラティヤーハーラ(制感)
  6. ダーラナー(集中)
  7. ディヤーナ(瞑想)
  8. サマーディ(三昧)

アーサナの完成した状態

しかし、意外に思われるかもしれませんが、瞑想のために座るアーサナが、どんなにアクロバティックで難しそうに見えるアーサナ(ポーズ)よりも難しいのです。

座る形のアーサナは、ただ脚が組めるようになるだけでなく、姿勢が乱れず、呼吸が乱れず、心が乱れないことをもって完成とします。それができた時には、心は瞑想だけに没頭します。アーサナとは瞑想での座り方のことですから、当然そうでなければなりません。

『ヨーガ・スートラ』には、アーサナについて非常に簡潔な説明を行っています。

“アーサナは堅固で快適であること” ——『ヨーガ・スートラ』2.46

つまり瞑想での座り方は、背筋がまっすぐに伸びて、身体がぐらつくことのない堅固さがあり、そして身体の痛みを感じず、楽で快適に座れるようになるべきだというわけです。

そのような座り方ができるようになれば、心は自ずと瞑想状態に入ります。つまりヨーガのアーサナにおける完成とは、瞑想で何の不自由もなく長時間座っていられる、堅固で快適な座り方ができることをいいます。

ハタ・ヨーガにより多彩なポーズが生まれる

現在いろいろな種類があるアーサナ(ポーズ)は、その座り方を完成する目的のために生まれました。

サマコーナ

おそらく古代の人たちは現代人よりもずっと身体が丈夫で、特にブッダのような修行者たちは難なく瞑想の座る形を続けられたことでしょう。しかし、長時間瞑想に没頭して、何も気にならないくらい楽で快適に座り続けられるほど、私たち現代人は身体が強くありません。

おそらくそうした状況が、時代がたつにつれて次第に進行していたのかもしれません。中世になると1,000年ほど前の話です)そのような古典的なヨーガの補助的手段として、ハタ・ヨーガというものが生まれました。現在ヨガとして広く普及しているものは、このハタ・ヨーガです。(○○ヨガという名称がたくさんあり、あたかもいろいろな流派があるかのようですが、基本的にすべてハタ・ヨーガです。ただ、○○のなかに英語が入っているヨガは、アメリカで最近作られたものです)

『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』におけるアーサナ

ハタ・ヨーガは、『ヨーガ・スートラ』に説かれた八部門のヨーガのうち、第3番目のアーサナと第4番目のプラーナーヤーマ(調気法・呼吸法)を拡大発展させることで成立しました。

ハタ・ヨーガの聖典『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』は、次のような構成になっています。

第1章 アーサナ
第2章 プラーナーヤーマ
第3章 ムドラー(特定の形をとって行う呼吸法)
第4章 ラージャ・ヨーガ(瞑想・三昧を意味する古典的なヨーガ)

ラージャ・ヨーガというのは「王のヨーガ」という意味で、ブッダや『ヨーガ・スートラ』が教えた古典的な瞑想・三昧としてのヨーガを指します。

『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』の第1章アーサナの冒頭2つの経文は、次のように言っています。

“ハタ・ヨーガの科学は、高遠なラージャ・ヨーガに昇りたい者にとっての階梯として光り輝く。
ただラージャ・ヨーガに導くためだけに、ハタ・ヨーガの科学を教える” ——『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』1.1, 1.2

ハタ・ヨーガは、ラージャ・ヨーガつまり瞑想のヨーガを目指すためにあります。さきほど、ポーズを行うヨガは、ハタ・ヨーガであると言いました。ただし、瞑想を目的としているのでなければ、ハタ・ヨーガにも入りません。

それはヨーガのどのカテゴリーにも入らないため、古来のヨーガとはいえません。それらはどうも他の運動と同じで、筋肉を動かし汗をかいてリフレッシュするためのものか、ストレスや運動不足を解消するエクササイズのようです。(広告などのポーズを見ると効果のない形を作っているので、おそらく見よう見まねでやっているのだと思います)

なぜポーズをするのに瞑想が必要か?

あなたが瞑想にどれだけ興味があるかはさておき、ヨーガを習うなら、教えてもらう人は、肉体的な部分だけなく、少なくとも瞑想の境地を目的としているか、できれば瞑想を中心に実践している人にしてください。そうでなければ、アーサナでさえもヨーガとしての効果はありません。

マッチェーンドラーサティヤアーサナは、プラーナ(気・生命力)の働きを活性化することで効果が現れます。アーサナが正しくできているかどうかは、プラーナがどのような状態にあるかで判断します。(一般的には「気が入っている」とか「気迫がある」などと感じられるものです)

また、アーサナを保持している時の集中も重要です。形は正しくできているようでも、集中ができていない場合には、何年やっても効果が上がりません。

そうした効果が上がらない状態を見抜くには、アーサナの経験とともに、プラーナや心の動きに対する繊細な感受性が必要です。それは筋肉を動かしてリフレッシュしているだけでは、決して身につきません。瞑想を単なるリラックスだと思っている人にも無理でしょう。

アーサナの目的をきちんととらえ、アーサナの状態がどのような方向に向かうのが正しいのか、それを自分のなかで体感している必要があります。その目的と方向性とはつまり、アーサナのなかでの瞑想状態です。感覚の分散がなく、プラーナも心も集中されている状態にあって、アーサナは効果があります。それこそがまさに「ヨーガ」の状態であり、ヨーガを行っているといえるのです。

まとめ

ヨーガとアーサナに瞑想が不可欠のものであることを解説してきました。今からヨーガを始めるつもりの人は、以下の点に注意して始めてください。またすでに始めている人も、アーサナが効果的になる秘訣をつかんで、深い奥義を味わってください。

  • ヨーガとは、感覚を制御して瞑想することと、瞑想の結果おとずれる三昧・悟りの境地をいう。
  • アーサナとは本来、瞑想での座り方のこと。
  • アーサナは瞑想に没頭できるように、堅固で快適に座るのが完成。
  • さまざまなポーズも、座り方の完成つまり瞑想のためにある。
  • アーサナをする上で重要なのはプラーナと心の集中。それはアーサナのなかでの瞑想状態を目指すことで達成する。


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