日常の実践と体得

ヨーギー「ヤマとニヤマ(禁戒・勧戒)の十の項目はつい見過ごしてしまいがちな感じがするけれど、とても大事なものです。人が一日一日生活をしていくという行為そのものの中に間違いがないようにするための注意ですし、それがあってアーサナや瞑想というものが積み重ねられていくわけです。アーサナや瞑想は一日のうちに一時間ないし二時間ぐらいかもしれないけれど、ヤマ・ニヤマというのは起きている間はそれこそ十二時間、もっとそれ以上の時間の中で実践されるべきものですから、時間的にも非常に大きな部分でもあります。そしてヤマ・ニヤマというのは、決して単なるこうしてはならない、あれはしてはならないというような、べからず集ではないということも学ばなければならない。

つまり真理というものを学ぶならば、最初に気付かされることは、すべてのものが平等であり、尊いということです。ここにおいては自らと他者、あるいはその他の動物や生き物、すべてにおいて差別観をもってはいけない、すべての中に同じ尊い存在が在るということです。そうすると、誰かが誰かに暴力を与える、与えられるという関係は矛盾するでしょう。それは平等でなくなる。これは真理に反することです。盗む、盗まれるもそうです。真理というところから見ても、当然の行為のあり方です。そういうふうにまず真理をもって理解をすることで、自らの心の制御がなされるし、また行為が正されていくと思います。もちろん行為は実践を通して行なわれますから、確実なものとしてそれが本当に修行というものになっていくと思います。単に頭の知的理解だけではだめ、体を通して体得していくことが求められます」

*非暴力、正直、不盗などラージャ・ヨーガで説かれる日常の行為のあり方。詳しくはこちら

2011.5.14