ラージャ・ヨーガ

(一)ヤマ(禁戒)は他者に対する行為のことです。五つのヤマの中で最も大事なことは、他者を傷つけてはいけないということです。
アヒンサー(非暴力)  他者(全生命)に対していかなる苦痛も与えない。
サティヤ(正直)  他者に対して嘘をつかず、誠実で正直であること。
アステーヤ(不盗)  他者の何ものも盗まない。
ブラフマチャリヤ(純潔)  純潔であること。
アパリグラハ(不貪)  最小限度の必需品以外を持たず、他者から贈り物を受けない。
これらのヤマを遵守することは、他者ひいては自らの苦を乖離することになる。

(二)次にニヤマ(勧戒)がきます。ニヤマは自らに対する行為です。
シャウチャ(清浄)  体と心を浄化し、清浄に保つ。
サントーシャ(知足)  生命をつなぐに足りたる最低限必要なものを知る。
タパス(厳しい修行)  寒暑、快不快などあらゆる生理的、心理的二元状況を克服する。
スヴァーディヤーヤ(聖典の学習)  聖典を学び、真理への理解を育む。
イーシュヴァラ・プラニダーナ(自在神への祈念)  悟りへの誓い。神への帰依。
これらのニヤマを実行していけば、心身が際立って浄化され、ヨーガ成就への歩を確実に進めることになる。

(三)三番目にアーサナがきます。アーサナは座るポーズということです。アーサナは堅固で快適でなければならない、そのために無数のアーサナが開発されてきました。それが現在ハタ・ヨーガと言われているものです。だからすべてのアーサナは、この座る単純な形のためだけにあります。いかなるアクロバティックなアーサナにしても。

(四)さて次にプラーナを制御するプラーナーヤーマ。体も心もこの世界すべてはプラーナで成り立っています。これは宇宙エネルギー、あるいは力です。プラーナーヤーマでは、そのプラーナを制御していくことを学んでいきます。

(五)そして次にプラティヤーハーラ、感覚の制御があります。この五つの感覚器官がすべて外向きに付いていて、心は常に外部の影響を受けてしまいます。したがって、プラティヤーハーラでは、ちょうど亀が頭や手足を引っ込めるように、五つの感覚器官と心を引き込め制御します。

(六)さて、次からは本格的な、いわゆる瞑想と言われているものです。最初はダーラナー、集中です。真我、神、真理、そういったことに集中していきます。いわば、その対象に心を釘付けにする。ぴったり離さないようにする行為です。

(七)それが深まっていけば、自動的にディヤーナ、瞑想と言われる世界があるのです。これは心がより対象に浸透してきている状態です。

(八)そして、最後の八番目に、サマーディ、三昧。この対象と心が一つになった状態です。これは経験から知る知識とはまったく違います。このとき、対象の本質が理解されます。これは知性で得る知識とはまったく違うものです。瞑想の対象は無数にありますが、今言った三つのこと(真我、神、真理)が最も大事です。