アーサナの力

“アーサナは堅固で快適でなければならない”

アーサナとは坐法のこと。あらゆるアーサナは、堅固で快適な状態で座り続けられるようになるために行います。
堅固とは、心がしっかりと定まって動かないことだと、昨年先輩グルバイから教わりました。

ヨーガでは、プラーナ(気)を制御することによって身体や心の動き、そして呼吸を制御していきます。
呼吸と心は密接に関わっており、呼吸が止まると心も止まります。
アーサナにおいては一つの形の中で、まず身体の動きを制御し、次に呼吸を制御していくことによって、心が制御されます。

私がアーサナを始めたのは、通っていた鍼灸学校の先輩のクラスがきっかけでした。
元々股関節と腰に痛みが出やすかったのですが、当時は怪我の影響で膝も痛く曲がりづらい状態で、特にバッダコーナ・アーサナでは上体を倒すと膝の違和感が強くなり、形を深めることができませんでした。それでも行うと腰と股関節に効いている気がして、好んでやっていました。

半年ほど経った頃、初めてMYMのクラスに参加しました。
最初に行ったのがバッダコーナ・アーサナ。それまで参加していたクラスとは異なり、静まり返った雰囲気の中、少しずつ形を作りました。膝に多少の痛みを感じつつも、「しっかりと息を吐ききるように」との声に、ひたすら息を吐くことを意識しました。呼吸する度に身体の感覚がなくなっていくようで、いつもよりも形が深まっていきました。
身体の内側では強烈な刺激を感じ、時間が止まったような気がしました。
「戻して」の声でゆっくりと上体を起こすと、頭がぼーっとしていて、その後のことはあまり覚えていません。おそらく心や感覚が制御されたことで、痛みに囚われずにアーサナできていたのだと思います。
アーサナの形自体はこれまで行っていたものと同じなのに、呼吸を意識することでこんなにも違うのかと驚きました。
MYMのクラスに通うようになってからは、膝の状態は改善して身体の調子も良くなり、バッダコーナ・アーサナをしても痛みや違和感がなくなりました。
それでも長時間座る時は必ず足や腰が辛くなっていましたが、アーサナを毎日行ううちに少しずつ座れるようになりました。
アーサナができない時には、背骨を真っ直ぐに伸ばした姿勢で座るだけで、呼吸が落ち着くことに気付きました。また、クラス受講中に頭痛がひどくてアーサナできなくなった時には、座り続けるうちに痛みが和らぎ、クラスが終わる頃に楽になったことがありました。
座る形を作るためにアーサナがあるのだと納得し、身体を癒す力もあるのだと実感しました。

最近は年齢による身体の変化もあり、腰や股関節に違和感と痛みが出ることがあります。
一通りアーサナをするのが困難な時でもバッダコーナ・アーサナを行い呼吸を繰り返すことで、違和感や痛みに囚われなくなります。
いつまでも吐き続けられるような感覚になり、吐き切った後の自然に呼吸が止まった状態が平安で心地良く、ずっとこのままでいられたらと思うほどです。

身体、呼吸、心が制御された状態の中では、心でも体でもない、本当の自分だけが在ることを体感するから、無呼吸の状態を平安で心地良く感じるのではないかと思います。

アーサナは坐法。
師がお座りになるお姿は本当に美しく、坐法が堅固で快適であることを私たちに見せてくださっています。

そうなるための基礎となるアーサナの大切さを感じています。

美しい坐法が描かれているタペストリー。
ずっと見つめていると瞑想しているような感覚になります。

ハルシャニー  


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