かけがえのない時間 ~弟子たちのサットサンガ~

梅雨に入った6月18日。その日は、私たちの最愛の師がこの地上から去られてちょうどひと月目の節目でした。まだまだ夢のまた夢を見ているような、きっと多くの仲間たちが実感も、整理もつかないまま日々を過ごしていたかもしれません。しかし、季節は確実に巡っていました。気が付けば、あちらこちらには鮮やかな色彩の紫陽花が咲き始めています。また台風が来たり、雨が降ったり、突然晴天になったり、まるで私たちの心模様のようでもあります。
そんな時節に、コロナ禍以来初めての一同が会してのサットサンガが開催されたのでした。久しぶりに再会する仲間も多く、それぞれが再会を素直に歓び合いました。
 
コロナ禍以前は、毎月サットサンガが開催されていた、あの同じ会場の同じ部屋。皆で師がお座りになっていたムートンを囲み、まず礼拝が捧げられ、少しの瞑想を行ない、会が始まりました。師のお席の横には、清楚な水色と薄ピンクの紫陽花が可憐に生けられ、会場の大きな窓からは梅雨の晴れ間の明るい青空と、大きな木の爽やかな緑が広がっています。師はいつも晴れ男さんなのでした。
かつて師が毎年NYにご布教に行かれていたご不在中も、弟子たちはいつも皆で師のムートンを囲んでサットサンガを続けてきました。今、実際に師の肉体とお会いすることは叶わないのかもしれませんが、それでも弟子たちがやっていくことは同じです。
 
今回のサットサンガの詳しい内容は、WEBパラマハンサにて掲載されますが、印象的だったことをお伝えさせていただきます。それは誰もの中に、確実に師の教えが生きている、ということです。師がお姿をお隠しになられた今、それが余計に際立ち、師の教えが燦然と輝いて見えました。一人一人が師の教えと存在を身に纏い、これから自分たちの足で歩いていく、ということを確認し合ったかけがえのない時間でした。

師は肉体を離れられてもなお導かれていて、その導きは永遠です。肉体には限りがあり人は誰もが死にますが、肉体が無くなってもその存在が無くなるわけではないことを師はずっと教えてくださってきました。弟子たちが話したことは、この度のことは弟子に与えられた最大の教えだというふうに受け止めていることや、ラーマクリシュナの直弟子たちは師のご入滅後、厳しい修行を行ない、その後献身奉仕へと身を投じたけれど、その生き様に現代の私たちはどう倣うべきなのか。そのためには、これからヨーガ行者として一人一人が、より具体的に行動、実践していく必要があるという話もありました。
師の存在と教えを多くの人に伝えていくためには、本当にみんなそれぞれの力が必要で、それぞれが出来ることを活動していくこと、そのお手本として遠く離れた台湾の仲間たちが積極的に活動している話も出ました。

また一人の先輩が話されたことも印象的でした。
「一人一人が味わってきた歓び、それを行為を通して、身近なところで真実をお伝えすること、日常の当たり前の生活の中で本当に純粋なものは伝わっていく。ヨーガは実践あるのみ、と師は何度も仰ってきた。地道な作業だからこそ、独りよがりにならないよう行為するためにも、時折、弟子のサットサンガなどの場は貴重。学びを深めて今まで以上に師と共に活動していく。みんなの思いは一つ。どのように形として伝承していくか」

「ヨーガというものを自らが信じて、周りの方々にちょっと言ってあげたり、話したりすることで、その方が心が楽になったなぁと思ってもらえたらいい、ただ純粋な行為をしていけたらいいと思う」

思いやりと優しさ溢れる中で会は進行されていきました。泣いている者もたくさんいましたが、次第にその涙はあたたかい涙に変わっていきました。きっと、もう十分に、みんな思いはある。その思いをこれからは、より素直に、大胆に行為していく、すべて行為に転換していけるはず。そんな勇気と力を、師がみんなに与えてくださっているように感じました。

皆が少しずつ思いを話した後、サットサンガの最後に素晴らしいサプライズが待ち受けていました。
・・・なんと四名の方がこの日、師からの法名を授かりました。師は生前、法名をご準備されていたのでした。なんということでしょう。法名は、師の直筆で、それはそれは美しい、愛おしい師の字で記されていました。清らかな散華のように皆からの清々しい拍手喝采が沸き起こりました。こんな演出、一体誰が想像するでしょう。師の、神の、なんという粋な計らい。私たちのことをずっとずっと変わらず見守り、手を取り、足を取り導いてくださっていることを強く感じました。悲しみだけで決して途方に暮れないように、すべてを導いてくださっている、肉体は無くなっても、存在は永遠だと。
そして皆で師へのストートラムを奉納しました。空間すべてに、皆の美しく、清らかで尊い思いが満ち満ちていきました。今日は偶然か必然か新月。そういえば、先日ある仲間が話していました、ここからが船出だと。新月の日は、新しいスタートを切るにふさわしいと師も仰っていた吉祥なこの日、皆で決意を新たにし、師からの祝福が与えられたことを感じる機会となりました。
「これからが楽しみやなぁ!」と師の声が聞こえてくるようです。

師のムートンを囲み、弟子たちが半円形で座っているサットサンガの写真

 

ナリニー


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